Date

2023/06/09

Tags

Paywall, Testing, Featured Activation

Pianoがわずか1年で Fortune Mediaをプレミアムブランドへ導き コンバージョン率を3倍に引き上げた施策

概要

1929年に創刊されたFortuneは、読者・視聴者・イベント参加者に圧倒的な情報量を独自のストーリー展開で提供し、ビジネス界での成功を支援するグローバルメディア企業です。世界有数のビジネスメディアブランドであるFortuneは、日々更新されるウェブサイト、多国籍展開の月刊誌やカンファレンスシリーズを擁し、北京・ボストン・シカゴ・香港・ロンドン・ロサンゼルス・ニューヨーク・サンフランシスコ・上海に支店を開設しています。
2019年、Fortuneは親会社のメレディスから民間投資家に売却され、Fortune Mediaとして新体制で始動しました。買収後、出版の優先順位は紙媒体からデジタルへシフトし、新たな経営陣はウェブサイトをブランドの主力媒体としてプレミアム化を目指す大胆な再構築プロジェクトに着手しました。


課題

Fortuneのデジタルチームは1年以内にウェブサイトを成功させ、プレミアムサービスへと進化させるというミッションが課されました。そのためには、メレディス時代の旧プラットフォームからの移行に加え、サイトの運用環境と社内体制をゼロから構築する必要がありました。
プロジェクトを更に複雑にしたのは、Fortuneが雑誌とオンラインメディアの両方を展開している事でした。そのため、デジタルと紙媒体を融合させた、新たな商品開発と販売戦略が求められました。


解決策

1年にわたるプレミアムサイト再構築のプロジェクトを経て、Fortuneのデジタルチームが得た3つの重要な教訓:

  • シンプルに保つこと ー 複雑さは価値を生まない

  • 単なるペイウォールではなく、細部の仕組みにも着目する

  • 購買プロセスを簡素化し、途中離脱を防ぐ

1. ユーザーにわかりやすいオファーを

Fortuneは、コンサルタントと協力して大規模なプロジェクトを立ち上げ、価格体系とオファー内容の設計に取り組みました。それぞれ月額・年額の選択肢を持つ3段階の料金プランを用意し、ユーザーの多くが中間プランを選択することを狙いました。
しかし、Piano ActivationのA/Bテストを利用した結果、オファー内容が複雑であったため、ユーザーが内容を正確に把握するのに、時間と労力を要しているという事実が明らかになりました。
こうしたフィードバックを受けて、Fortuneはアプローチを抜本的に見直しました。デザインや機能、価格の見せ方などを試行錯誤しながら、最終的に「わかりやすさ」を最優先にしたオファー設計へと方向転換したのです。

登録フォームの効果を A/Bテストで検証
解約率を抑える施策の導入
2. 包括的なペイウォールソリューションの構築へ

シンプルなペイウォールの導入に着手したFortuneでしたが、すぐに周辺機能にも改善が必要であることが判明しました。
ユーザーがプランのアップグレードやダウングレード、契約のキャンセルや更新、クレジットカード情報の変更をスムーズに行えるよう、カスタマーサポートサイトの整備が必要でした。また、新規加入者との関係構築に向けて、ウェルカムフローやオンボーディング施策、マーケティングオートメーションの導入も不可欠でした。
さらに、解約防止戦略の一環として、FortuneはPianoのLtC(Likelihood to Cancel ※Piano が提供する機械学習を用いた解約リスクのスコアリング機能)アルゴリズムを活用し、ユーザーを解約リスクの高低で分類しました。どのタイミングで解約が発生しているか、ユーザーがどのようにコンテンツと関わっていたかを可視化しました。こうした分析をもとに、解約リスクの高いユーザーに対しては特別な更新オファーなど、ターゲットを絞ったマーケティング施策を展開できるようになりました。


3. 購買プロセスの簡素化でスムーズな体験を提供

Fortuneのデジタルチームがオファー形式を見直した結果、ユーザーが購読するまでのプロセスが非常に複雑であることに気が付きました。手続きには多くのステップが必要で、住所など詳細な情報の入力も求められていたため、ユーザーにとって大きな負担となっていました。
Fortuneはユーザー体験の向上を目指し、プロセスの簡素化に着手しました。 Piano Activationを活用して、すべての操作が同一ページ内で完結するシンプルなサブスクリプションポップアップを導入。ユーザーを別ページに遷移させることなく、スムーズな登録を実現しました。さらに、決済プロバイダーを刷新し、購入に必要な情報を最小限におさえることで、シームレスな購買体験を実現しました。


結果

Fortune Mediaのデジタルチームは、わずか1年で新しいプレミアムサイトを構築、テスト、ローンチし、2020年1月に公開しました。
Pianoを活用したテストと継続的な改善の結果、最も効果的なフォーマットはシンプルで、かつミニマルなテンプレートであることが判明しました。購入手続きページを極限まで簡素化し、ほぼワンクリックで決済できる設計にしたことで、離脱率の大幅な低減に成功しています。

サブスク登録フォームのA/Bテストでコンバージョン率が3倍に増加
Pianoで得られた洞察は Fortuneのペイウォール戦略全体に革新をもたらしました

現在、Fortune Mediaは、複数のペイウォールを運用するバイモーダル型(2つの異なる収益モデル)のビジネスを展開しています。雑誌掲載のプレミアムコンテンツ、(綿密な取材記事、特集、深掘りレポート)には完全なウォールを設け、「Fortune 500」などの定番コンテンツには、3PV閲覧後にオファーが表示されるメーター制のペイウォールを採用しています。 
この施策の効果により、カジュアルな訪問者はFortuneのランキングコンテンツを自由に閲覧でき、より深い情報を求める段階で自然にサブスクリプションへと誘導されます。Piano Activationを活用することで、このような異なるペイウォールのルールセットを、シームレスに管理できるようになりました。 
さらに、広告収益モデルによる一般ニュースコンテンツも無料で提供されています。

“Pianoの導入により、Fortune Mediaはペイウォール機能のテストと実装をシームレスに進め、1年でサブスクリプションモデルの立ち上げに成功しました。現在は、Pianoと連携しながらファーストパーティデータを収集し、オファーのパーソナライズを通じて、さらなるコンバージョンの促進を目指しています。” — Jonathan Rivers, Fortune Media,CTO