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金融DXの鍵はデータ収集ではなく、それをつなぐ仕組み。

銀行は他のどの業界とくらべても多くの顧客データを保有しています。取引履歴、契約している商品・サービス、チャネルごとの利用状況、ライフイベントなど、必要な情報はすべて揃っています。それにもかかわらず、多くの銀行のデジタルチャネルは、顧客のこれまでの行動やニーズにかかわらず、どの顧客にもほぼ同じオファー、同じ案内、同じ体験を提供しているのが実情です。これを変えるデータはすでに多くの銀行の手元にあります。足りないのは、それを部署を横断して一元化し、リアルタイムで活かす仕組みです。 

アクセンチュアの調査「2025 Global Banking Consumer Study」によると、顧客からの推奨度で上位20%に入る銀行は、同業他社より1.7倍速いペースで収益を伸ばしています。デジタルバンキング企業のQ2社の調査では、消費者の74%がよりパーソナライズされた顧客体験を求めているという結果が出ています。別の調査でもこれを裏づけており、金融リテラシーの向上に役立つアドバイスを適切なタイミングで個別に届けてくれる銀行があれば、そこに乗り換えたいと答えた顧客は84%にのぼります。さらに、自分の支出や貯蓄のパターンを銀行が分析し、家計の把握を後押ししてくれることを望む顧客は70%に達しました。 

顧客が求めているものはいたってシンプルです。顧客を理解し、これまでの取引を把握しており、どのチャネルでもシームレスなサービスを届けてくれる銀行です。そのどちらを実現するにも、顧客の行動データを一元化し、リアルタイムで見渡せる状態が欠かせません。 


銀行が顧客体験のパーソナライゼーションに苦戦する理由 

多くの銀行では、顧客データが預金用、融資用、デジタルチャネル用といった別々のシステムに分断され、それらを横断して共有する仕組みがありません。 

1週間に3回も住宅ローン金利を調べている顧客には、融資担当部署から連絡を入れるべきです。長年付き合いのある顧客が新たに商品を契約したのに、初めて取引する人向けの案内が届くのは不自然です。ところがこうした対応のどちらも実現できていない組織が少なくありません。顧客データがあちこちのシステムに分かれ、それぞれが連携していないためです。 


成果につながる銀行向けパーソナライゼーション戦略の作り方

取引データからわかるのは、顧客が「何をしたか」です。一方の行動データ、つまりページの閲覧、シミュレーターの操作、アプリ内ツールの利用、離脱したポイントといった情報は、その「理由」と「次に取りそうな行動」を教えてくれます。たとえば貯蓄口座から1万ドルを引き出した顧客は、それが住宅購入のためでも、ほかの銀行への乗り換えのためでも、口座の統合のためでも、取引データ上は同じに見えます。しかし、現金引き出しに至るまでの行動データを見れば、まったく違う事情が浮かび上がります。 

Piano グローバルアナリティクス SVP / エグゼクティブスポンサー兼チーフエバンジェリスト、Marie Fenner は次のように語ります。

「金融業界には”ライフステージ”という考え方があります。例として、その顧客がなぜこの金額のローンを組むのか、その背景まで理解するということです。たとえば結婚や出産、子どもの進学などが理由かもしれません。こうした節目を捉えることが、非常に重要なのです。Pianoは、こうしたファーストパーティデータを自社サイトで収集する支援ができます。入力を必須にする必要はありません。それでも、ファーストパーティ/ゼロパーティデータが得られれば、活用の幅が広がります。たとえば、浴室の改修のために借り入れる顧客と、日々の支出を収入でまかなえずに借り入れる顧客とでは、銀行が築くべき関係性はまったく違います。背景を理解することができれば、次に何を提案すべきか、長く続く関係性を構築するにはどうしたら良いかがわかります。」

そこで必要になるのが、すべての部署がアクセスできる統合された顧客プロファイルの構築です。取引履歴と行動データを組み合わせ、継続的に更新され続けるプロフィールです。これが整うと、各部署で顧客の行動をより深く把握できるようになります。顧客が新たな商品を検討する前によく訪れる商品ページ、オンライン上で離脱が起きている箇所、長期的な定着を左右する初期の行動などです。そして、見えてきたパターンのひとつひとつが、具体的な打ち手を示してくれます。たとえば、担当者から先回りして電話をかける、顧客の興味関心に合わせた案内を送る、導線をシンプルにする、といった対応です。 

Marie Fenner はこう続けます。 

「解約の兆候が見られる顧客には即アプローチし、理由を尋ねてみてください。たとえば『毎月100ユーロも手数料を取られるから、手数料のかからない銀行に切り替えようとしている』というように、ごく単純な理由のこともあります。それを知るだけで、手を打つことができます」 

スピードも重要です。行動シグナル(顧客の行動から読み取れる兆候)は、担当部署がその日のうちに動けてこそ価値を持ちます。Gartnerの調査によると、行動シグナルの価値は24〜48時間を過ぎると急激に下がり、融資のような購買意欲の高い場面では特にその傾向が強く出ます。まずは、どの行動シグナルに対してどんなアクションを起こすべきかがはっきりしているケースから始めましょう。たとえば、顧客が住宅ローンのページを3回訪れたら融資担当部門にアラートを送る、あるいはアプリの利用頻度が下がった顧客をフォロー対象として抽出する、といった形です。そのうえで、そのフォローが成果につながったかを測定し、得られた学びをもとに次に取り組むケースの優先順位を決めていきます。 

実際の例として、クレディ・アグリコル社の取り組みを見てみましょう。 


クレディ・アグリコル社が行動データを活用し、大規模なパーソナライズを実現した方法

フランスに本拠を置く総合金融機関クレディ・アグリコル。その39の地域銀行を支えるテクノロジー子会社CA-TSは、アクティブユーザー1,170万人以上を擁するモバイルバンキングアプリ「Ma Banque」を運営し、フランス全土の7万2,000人の銀行アドバイザーを支援しています。住宅ローンや貯蓄のシミュレーターを利用する顧客は、はっきりとした購買意欲のシグナルを発していました。しかし、その行動データは、CRMと一度もつながっていない分析ツールの中にとどまり、アドバイザーの目に触れることはありませんでした。

CA-TSはPiano Analyticsを使い、こうした行動データ、すなわち閲覧したページ、滞在時間、シミュレーターの操作などを、アドバイザーが日常的に使うデータベースへ直接連携しました。各顧客には直近の行動に基づくスコアが付与されるため、アドバイザーはその人が商品を気軽に見ているだけなのか、それとも行動を起こす兆しを見せているのかを一目で判断できます。顧客が来店するのを待つのではなく、その顧客が直前にオンラインで取った行動をもとに、アドバイザー側からアプローチできるようになりました。現在、CA-TSはPiano Analyticsを通じて月におよそ50億回のサーバーコールを処理しています。


金融機関のパーソナライゼーション実践ステップ

  • どの部署がどのデータを持っているかを整理する。融資、デジタル、マーケティング、支店など、顧客データに触れるすべての部署を洗い出します。そのうえで、顧客のオンライン上の行動が、契約している商品・サービスや取引履歴と同じ一つの顧客記録にまとめて表示されているか、自社のCRMを確認しましょう。もし表示されていなければ、まずはそこが課題です。 


  • 導線ごとに行動シグナルの意味を定義する。商品のシミュレーター、商品ページ、口座開設などの申込手続きについて、何をもって購買意欲が高いと見なすかを定義します。たとえば、1週間にシミュレーターを2回使う、同じ商品ページに3回戻ってくる、手続きの途中で同じ場所で離脱する、といった行動です。あわせて、どの部署がフォローを担当するかも決めておきましょう。1週間に住宅ローンのシミュレーターを2回使う顧客と、ページを一度開いただけで離れた顧客とでは、取るべき対応は違ってきます。こうした行動シグナルの多くは、顧客がフォームに入力するより前に表れます。そのため、本人が情報を入力して初めてトラッキングを始めるCRMだけでは足りず、初回訪問から行動を捉えられる分析ツールが必要です。Piano Analyticsは、すべての訪問と操作をサンプリングなしで取得し、1秒あたり12万件のデータを処理しながら、レポートを2分以内に提供します。 


  • まずは1つの行動シグナルで対応を検証する。例えば顧客がコンバージョンしないまま住宅ローンのページを3回訪れたなら、融資担当部署は24時間以内にそれを把握できるようにします。その行動シグナルが現状で担当に届くまでにどれだけ時間がかかっているかを確認した上で、フォローアップがコンバージョンにつながるかを測定。そこで得た学びを次のユースケースの優先順位づけに活かします。 


  • 責任者を決める。行動シグナルが適切な部署に届かなかったときに、社内の誰が責任を持つのかを明確にします。一般的には最高デジタル責任者(CDO)やデジタルバンキング部門の責任者が候補に上がることが多いです。 


Piano Analyticsは、行動データ、取引データ、CRMデータを一元化します。これにより、すべての部署が同じ顧客像をリアルタイムで共有しながら業務を進めることができます。データは各イベントの発生から数分以内には使用可能で、クエリには2秒未満で応答。その結果はCRMやBIツールへ直接連携できます。 

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